北九州監禁殺人事件

 発覚したのが2002年なので、知っている人も多いと思う。家族同士に殺し合い&遺体の解体をさせた(児童含む)という、日本犯罪史上最悪級の超残虐事件。昨日、その控訴審があった。松永被告は当然死刑、緒方被告は死刑→無期懲役となった。
 ↓以下、事件のあらまし。



2002年3月
 17歳の少女Aが、北九州のとあるマンションの一室から逃げ出し、祖父母宅へ助けを求めに駆け込んだ。「お父さんが殺された。私もずっと監禁されていた」……少女Aの右足の親指は生爪が剥がれており、「ペンチを渡されて『自分で爪を剥げ』と言われたので剥がした」とのことだった。
 門司警察署へ監禁の被害届を出しに行った少女Aが供述した事実は、監禁致傷に止まらないどころか、恐るべき大量殺人だった――。


 松永太。顔が良く口が巧い、ある種の才能を授かって(?)生まれてきた男。高校卒業後、父親の布団販売業を手伝いつつ、19歳で結婚(子も儲けた)。その後、「ワールド」という名の布団販売会社を設立したが、粗悪品を訪問販売で売りつける詐欺会社だった。契約を取れない社員をリンチ、信販会社の長を恐喝…と、既に無茶苦茶をやっている。だが、そんなのはまだ序の口の序の口。


1980年
 松永(当時23歳)は高校時代の同級生・緒方純子(お嬢様)と愛人関係になったが、緒方家はそんな交際には猛反対。しかし、言葉巧みな松永は、純子父Cに「妻とは別れて婿養子になる」旨を記した念書で取り入る。純子母Dは松永に「娘とは別れて下さい」と頼むも、言葉巧みにラブホに誘われて肉体関係を持ってしまう(ちなみに純子母Dはこの時44歳)。
 同居の純子をボコボコにし(煙草の焼印、安全ピン&墨汁の刺青etc.)、肉体的・精神的に追い詰めて奴隷化。言われるがまま緒方家と絶縁させられた。


1993年
 詐欺と恐喝の末、会社は経営破綻(けどそれまでに得た利益は1億8000万円にもなるらしい)。純子は第一子を出産したが、金が無い。そこで松永が思い付いたのは結婚詐欺。既に結婚していて3つ子を持つ女を口説き落とし、離婚させ、徹底的に金を搾り取った(合計1000万円以上)。ちなみにこの女性、金蔓としての価値が無くなった頃に、3つ子のうちの1人と不審死を遂げている。


1994年
 不動産の営業をしつつ、離婚して10歳の娘(少女A)と暮らす男Bを次のターゲットに決めた松永。酒の席で過去に男Bが犯した軽犯罪の話を聞き出し、脅迫→マインドコントロール。奴隷同然どころか、奴隷以下の扱いを強いていく。通電リンチ、食事の制限、1日中純子による監視。消費者金融や知り合いに金を借りさせ、奪っていた。
 同じ頃、更に別の女性を結婚詐欺に嵌めている(どれだけのイケメンなのか?)。こっちも通電リンチの他、金を搾り取られていたが、アパートの2階から飛び降りて脱出し(この際に腰骨骨折や肺挫折を負った)、何とか助かっている。
 しかし、男Bは助からなかった。食事は1日1回(インスタントラーメンor丼飯)、10分以内に食べ終わらなかったら通電。直立不動を強要して動けば通電。真冬にYシャツ1枚で風呂場に寝かせていた。栄養失調の為の吐瀉物や排泄物を食べさせるetc.…圧倒的な虐待。その後、男Bは衰弱死。
 少女Aには歯形が残るくらい父親の体を噛ませ、「お前の歯形があるから警察はお前が殺したと思うぞ」的な台詞で脅迫。哀れな少女Aは、純子と共に実の父親である男Bの死体を処理させられた(包丁・鋸・ミキサーでバラバラ→鍋で煮込んだ後海に廃棄、肉汁は公衆トイレへ)。
 尚、この死体解体の直後、純子は第二子を出産。


1997年4月
 長男を少女Aに、次男を伯母に預けた純子は、出稼ぎに行ったまま失踪。殺人の共犯者兼奴隷の純子を取り戻すべく、松永は未だ肉体関係の続いていた(!!!)純子母Dに連絡を取った。「純子に殺人の片棒を担がされた」と脅迫し、自身の偽の葬式を敢行。これに引っ掛かった純子は帰ってきてしまい、取り押さえられて家族の前で通電リンチ。純子にとっては、騙されたことより家族が松永の味方をしたばかりか膝下に置かれてしまったことの方がショックだったらしい。
 松永は純子に命じ、それまで良くしてくれた人達に罵倒電話をかけさせ、純子の味方との縁を断たせた。そして、緒方家から金を取りまくる松永。


同6月
 一方、純子の妹Eは、夫F(緒方家の婿養子)に姉が犯罪者である事を打ち明けた。元警官である純子妹の夫Fは、「松永が義姉をたぶらかしたに違いない」と乗り込んだ。しかし、純子妹の夫Fの性格(公務と農協でしか社会経験の無い純朴さ、婿養子故の引け目と隠れたプライド)を一目で見抜いた松永は、「貴方はマスオさん的扱いを受けて馬鹿にされてるんですよ」的な発言(※超要約)で純子妹の夫Fを緒方家の敵にしてしまう(2人の子供GとHも預けることになってしまった)。
 ちなみに、松永は純子妹Eとも肉体関係を持っていた。母と娘両方との関係をそれぞれの夫の前で吹聴したり、母と娘を並べて寝かせ性器に通電…もうヤりたい放題である。


同8月
 純子妹の夫Fをマインドコントロール・隷属化し、金を搾り続ける松永。土地の売却を強いるが、親族は簡単には頷かない。警察が動き始めたことも知らされた松永は、緒方家はもう金にならないと判断した。


同12月
 松永は言いがかりをつけ、緒方家の大人達C〜Fを正座させ、その場で純子に純子父Cを通電で殺させた。死体は、少女Aの父Bの時と同じように、残された大人達が解体・廃棄した。


1998年1月
 度重なる通電により奇声を発するようになった純子母D(精神に異常を来していた)。松永は、純子・純子妹E・純子妹の夫Fに純子母Dを絞殺させた。遺体の処理は(以下略)


同2月
 度重なる通電により難聴になっていた純子妹Eを「頭がおかしくなった」と言って純子妹の夫Fに絞殺させる。


同4月
 男Bの時と同様、純子妹の夫Fを浴室に軟禁。1ヶ月半かけて栄養失調で死なせる。


同5月
 純子妹の夫Fが連れてきてしまった子供(純子の姪Gと甥H)のうち、純子に純子甥Hを純子姪G(この時10歳)に手伝わせて絞殺させる。
 純子姪Gと純子甥Hは、大人達の事情もわからないまま事件に巻き込まれ、殺害や遺体の解体を手伝わされた。それだけでも悲惨な出来事なのだが、松永は子供達にも通電拷問を忘れなかった。純子姪Gと純子甥Hにとっての父親(純子妹の夫F)が死亡すると、純子姪Gは「この事は誰にも言いません。弟(H)にも言わせません」と松永に対してお願いし、自宅への帰宅を願い出ているらしい。それに対し、松永は「死体をバラバラにしているから警察に捕まっちゃうよ」「弟は可哀相だから、お母さん(純子妹E)のところへ逝かせてやる?」と暗に弟を殺すことを命じた。純子姪Gは純子甥H(ちなみに当時僅か5歳)に「お母さんのところに連れて行ってあげる」と言って首を絞めた。


同6月
 遺体解体を簡単にする為、純子姪Gには満足な食事を与えずにいた松永(太っていたら大変だかららしい)。通電リンチの度に「誰にも何も言いません」と叫ぶも、最後には純子に絞殺させる。その時、純子姪Gは静かに横たわり、首を絞めやすいように首を持ち上げたという。
 緒方一家で唯一残った純子には「お前が逃げたせいで全員死んだ」と言い、精神的に追い詰める。


2002年3月
 17歳になった少女A、脱出。少女Aの祖父母宅へ少女Aを連れ戻しにやってきた松永と純子を、張り込んでいた捜査員が緊急逮捕。この時、松永のマンションには、純子・少女・松永と純子の実子2人の他に、養育費を巻き上げる目的でとある女性から預かった別の子供が2人いた。
 


 ――「どこの悪趣味サイコホラー小説だよ!?」と言いたくなる人も多いだろうが、事実である。ハッキリ言って、『Fate/Zero』の雨生龍之介&キャスター(ジル・ド・レェ)のコンビが可愛く見えるくらいの外道だ。人間性悪説論者である俺でさえ、この事件を初めて知った時はドン引きした。まさに前代未聞。
 2005年、福岡地裁は松永太と緒方純子に死刑を求刑。昨日の控訴審では、純子は無期懲役を言い渡されたらしい。死刑でいいと思うケドなぁ。こいつなら、途中で逃げて警察に通報することもできただろーに、しなかったンだから。


 この松永(現在46歳)って奴、イケ顔と話術の他に、範馬勇次郎なみのマッシヴさを兼ね備えていたのだろうか? それとも被害者が弱すぎただけ? マインド・コントロールって、ここまで凄い事が出来てしまうものか……?
 最初の裁判で死刑を言い渡された時には「緒方一家の揉め事であり、巻き込まれた自分はいい迷惑だ」とか言っていたらしいが…その生き汚さは正直凄いと思う。大阪児童無差別殺害の糞・宅間でさえ「もういいよ、早く殺せ」状態だったのだが……。
 ホント、人間って恐ろしい生き物だよなー。こんな奴、税金で飯を喰わせてないで、さっさと凌遅刑にでも処しちゃえばいいのに…と、ちょっと過激な事を言って締め括る。


 ……今日のはただの胸糞悪い記事になってしまった。orz